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最高裁判所第二小法廷 昭和26年(れ)2197号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大黒正恭の上告趣意について。

記録によれば原審の訴訟手続の経過は所論のとおりであるが、被告人は原審において所論第一回公判期日は勿論その後においても弁護人選任のため公判期日の延期、変更の申請をしたことはなく、しかも又原審が被告人の弁護人選任を妨げた事跡は毫も認められないのである。そして所論憲法上の権利は被告人が自ら行使すべきもので裁判所は被告人がこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなければよいのであるから(昭和二四年(れ)二三八号同年一一月三〇日大法廷判決参照)論旨の理由のないこと明らかである。

なお記録を精査しても刑訴四一一条に該当する事由はない。

よって、刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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